超個人的に感じたことを楽しく面白く時に切なく勝手に配信中でございます♪
2018年03月01日
「風俗店員とうさぎ」作者・出版社不明
第29話 ~往復2時間コース~
「これ、仕事やからな!」
いつもと違う店長の口調に
一瞬ドキっとし
わたしは口をつぐんだ
店長は少しイライラしてるようだ
わたしがふざけたからなのか
それとも違う理由があるのだろうか
店長も口をつぐんだ
少し嫌なムードが漂う
「ちょっと女の子見てきます」
と、店長が待機室へ向かった
店長がいなくなると
わたしは新入社員に同情を求める
「なんか店長、怒ってた?」
「けっこうドキってしたんですけど」
「そんなふざけてないよね?」
「いつもみたいに楽しくおかしく仕事したいよね?」
「そうっすね」
新入社員は少し冷めた口調で返事をする
わたしはこの時
何か場違いな雰囲気
温度差のようなものを感じた
けっきょくその日は
そのまま仕事が終わり
店長とは少し
しこりを残したままだ
女の子の初日も終わり
N市まで送ることになった
「ちゃんと送ってあげてくださいね」
「頼みますよ!」
店長が最後に話かけてきた
「はい、気を付けて送ってきます」
わたしは愛車ビュートの
後部座席に女の子を乗せ
安全運転を意識しながら
N市へと向かった
「お仕事大丈夫でした?」
「はい、優しい方ばかりでほっとしてます」
「それは良かったです」
初日と言うこともあり
少し疲れているように見えた
わたしは会話もほどほどにして
安全運転だけに集中した
深夜の国道は
大型トラックが行きかっている
勢いがすごい
人を乗せているからの前に
本当に集中していないと
深夜の国道は危険だ
スピードより安全重視
ちょいちょい煽られるわたし
譲ります
煽られ譲りを
何度も繰り返しながら
1時間ほどかけて
女の子を自宅まで
無事届けた
「よし!帰るか!」
いわゆる直帰
わたしは気合を入れ直し
わが家へ向け
アクセル強く踏み込んだ
再び1時間の道のりが続く
次回・・・「第30話」?!
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2018年03月01日
「風俗店員とうさぎ」作者・出版社不明
第28話 ~良いことの前兆?~
優しい太陽の日差しで
わたしは目覚めた
「あぁ、なんかスッキリした目覚めだ」
同時にスマホのアラームが鳴る
「今日は自然と目覚めたな」
「昨日自然に触れたからかな」
「なんか頭もスッキリしてて今日いい感じな気がする」
わたしは仕事へ行く準備を始めた
「かをるー、そろそろ行ってくるね」
かをるの頭を撫でた
「今日は良いことありそうな気がするよ」
「昨日のシシ神様パワーかな」
「じゃあね、かをる」
わたしは仕事へ向かうため
家を出た
ほどなくして店の駐車場へ到着
「よーし、今日は店長に昨日のシシ神様の話してみよう」
わたしは少しわくわくした気持ちで
お店の扉を開けた
カウンターに女の子が座っている
店長が面接しているようだ
わたしは店長に入って大丈夫か
目でうったえた
店長が首をこくっと下げた
どれくらい面接をしていたのか
分からないが
女の子は和やかな雰囲気で
時折、笑顔を見せていた
「さすが店長」
わたしも店長に笑顔を見せた
「何?気持ち悪いんですけど」
どっと明るい雰囲気になった
「それじゃ、今日から頼みますね」
と、店長がわたしの肩をポンと叩いた
わたしは何のことか分からなかったが
「はい」
と、だけ答えた
女の子は入店が決まってたみたいで
急いで入店準備に取り掛かった
店長が宣伝ようの写真を撮り始めた
わたしはヘブンネットへ
女の子のプロフィールを作成していく
そんな調子で
バタバタと日は暮れていった
「いやー店長、無事デビューできて
お仕事もしっかりついてよかったですね」
「今日起きたら良いことありそうな気がしてたんですよ」
「あの子、今日から遅番出勤するから」
遅番が少なくほしいと思っていたところだ
「おっ、これは嬉しいですね」
「やっぱり良いことあると思ってたんですよ」
「ラストまで働いて帰り送ってあげてくださいね」
「送りっすね、いいっすよ」
「あの子どこまでですか?」
「・・・」
「N市まで送ってあげて」
「・・・えっ?」
「N市ですか?」
「知人バレが不安でここまで通うから」
「帰り頼むな」
店長が語尾を強くして言う
N市は隣の街のそのまた隣の町の
隣の町の隣の町の隣の町の隣街だ
「店長、下道で1時間はかかりますよ」
わたしはいつもの店長の口癖を
真似て言う
「マジっすか?」
「店長、マジっすか?」
わたしは少し
笑いが起こると思っていた
しかし
返ってきた言葉は・・・
「これ、仕事やからな!」
低く野太い声で
ずっしりと叩きつけられるかのように
その言葉はわたしに襲いかかった
次回・・・「第29話」?!
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2018年02月28日
「風俗店員とうさぎ」作者・出版社不明
第27話 ~帰宅~
車へ戻ったわたしは
愛車ビュートのエンジンを回す
「おっ、やっぱり今日は調子がいいな」
わたしは登って来た道を
ゆっくり下って行った
「エンジンブレーキ」
「おぉぉぉ」
「エンジンブレーキ」
「おぉぉイエ―ィ」
「いいコーナリング」
下りを楽しみながら降りる
「おっ、シシ神様がいたところだ」
わたしは徐行し辺りを見渡した
「やっぱりもういないか」
少し残念な気持ちになりながら
わたしは下って行った
下りは早く
あっという間にふもとまで
到着した
「ふー、なんか楽しかった」
「マジ夜景最高でした」
「よし、国道に向け帰りますか」
わたしはアクセルを強く踏み
国道へ入り
わが家へと向かった
途中どこにも寄らず
真っすぐわが家へ帰った
数十分後
「かをるーただいま」
「帰ったよー」
わたしはすぐかをるに話しかける
「てか、聞いてよかをる」
「シシ神様に会ったよ」
かをるのほっぺたを
両手でぐりぐりしながら
わたしは興奮を伝えた
しばらくかをると
戯れながら
シシ神様、綺麗だった夜景の
興奮話を一方的にかをるに話した
カーテンの隙間から
うっすら明るさが漏れる
「うわっ、もう朝じゃん」
「ちょっとでも寝なくちゃ」
「かをるおやすみー」
わたしは急いで布団に入った
「いやー今日は面白かったな・・・」
「・・・」
改めて確認しておく
男ひとりだ
とってもロマンチックな
ドライブとなった
次回・・・「第28話」?!
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2018年02月28日
「風俗店員とうさぎ」作者・出版社不明
第26話 ~願い事~
勝手にシシ神様と決めつけ
興奮冷めやらぬまま
わたしは頂上をめざした
数分後
ちょっと開けた
砂利の広場へ出た
辺りは暗くて見えないが
どうやら駐車場みたいだ
わたしは車を停め
外に出た
左手に小さな小屋
右手が丘になっている
丘へ登る入口に
「展望台」と立て看板がある
わたしはスマホの明かりを頼りに
シーンとした暗闇の丘を
一歩ずつ登り始めた
「暗?外灯一つくらいあっても・・・」
「ここでシシ神様来たらマジどうしよう」
「車の中だったから興奮して終わったけど」
「ここで来たら”マジっすか?”100回くらい言いそう」
わたしは暗闇の怖さを掻き消すように
ぶつぶつ言いながら丘を登った
3分ほど登ったところ
どうやら展望台へ到着した
眼下に広がる
街の明かり、高速道路の並ぶ外灯の列
散りばめられた光のアクセントは
まさに求めて来た夜景そのものだった
「すげーすげー、マジ綺麗じゃん」
「え、すげー感動なんですけど」
冬の山、夜、天候は快晴
わたしは空を見上げた
街では見たこともない
強い光を放つ星たちに
わたしは更に感動を覚えた
「えー何これ?」
「すげー光ってる」
「星ってこんな明るかったっけ?」
「すげー、マジすげー」
「すげー・・・」
「・・・」
「・・・」
わたしは黙って
夜景と星空を堪能した
「おっ!流れ星」
わたしはすぐに願い事をかける
「これからも仕事がうまくいきますように」
意外と迷信好きだ
しかし、この願い事とは
真逆のことが起こっていくとは
この時はまだ知らなかった
どれくらい夜景を
楽しんだろうか
「よし、そろそろ帰るか」
「かをるも家で待ってることだし」
わたしは車へと戻った
次回・・・「第27話」?!
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2018年02月27日
「風俗店員とうさぎ」作者・出版社不明
第25話 ~きっと神~
わたしはブレーキに足をかけ
ゆっくり目線を右側へと延ばす
「・・・顔?」
「・・・人?」
「恐いんですけど・・・」
「なに?」
光と暗闇のコントラスト
大きな目があるのは分かる
顔らしい輪郭もなんとなく見える
得体の知れないそれは
ピクリとも動かない
わたしも動かない
「ザザザザッ」
何故かステレオにノイズが走る
恐怖が走る
わたしはハイビームを
それに当てる
暗闇に浮かび上がる
光のシルエットは
人ではない
「お、大きい」
「つ、角?」
そのシルエットは
もののけ姫のシシ神様に
デジャブする
「鹿?」
「なんか見たことある」
「・・・?」
「シシ神様だ」
無表情で角は大きく
無数に入り組んで伸びている
神を崇める様に
わたしはハイビームを当てるのを
すぐにやめた
それと同時に
ゆっくりと右側の森から
車道へと出てきた
シシ神様が
ゆっくりその姿を現す
「で、でか」
動物園で見る鹿とは
あきらかに違う
一回りも二回りも大きいだろう
角だけで1メートル以上はある
ゆっくり車道へと降り立った
シシ神様との差
およそ10メートル
ヘッドライトの白い光と
茶色であろううっすら見える毛並み
暗闇の黒が重なる
鹿らしきそれは
絶妙な光のバランスで
金色に輝いてるように見える
「シ、シシ神様じゃん」
わたしにはどう見ても
もののけ姫の
あの登場シーンが重なる
ブレーキに足をかけたまま
わたしは動けない
車道に降り立った
シシ神様が
ゆっくりこちらを向いた
背筋にゾワっと
緊張が走った
金縛りにあったかの様に
瞬きすらゆるさぬ
圧倒的存在感
こんな生物に出会ったことがない
恐怖や不安もあったが
それと同じくらい
見たこともない生物に出会えた
高揚感も感じていた
まだ寒さ残る冬の山
わたしは体が熱くなっていた
こちらを向いて
見つめ合っていたのは
およそ1分ほどだっただろう
時間で言えば1分だが
その間はとてつもなく
長い時間が経ってるように思えた
シシ神様は
ゆっくり動きだし
左の闇に消えていった
「シシ神様だよな、絶対そうだよな」
「あれ?ていうか左側って崖じゃね?」
わたしは10メートルほど
車を進めて
左側の崖を覗き込んだ
「暗?暗くて何も見えん」
わたしは暗闇の崖を見つめた
目を細めて見渡すが
何も見えなかった
「見ちゃったよ、神」
「うおぉぉぉーーーー」
興奮が押し寄せた
次回・・・「第26話」?!
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